【解雇事件マニュアル】Q83 就業規則による解雇の手続的制限の効力は
就業規則に、例えば会社が解雇を行うときには労働組合と事前に協議することを要するなどの解雇の手続規定がある場合、この就業規則上の手続きを経ずに行われた解雇は無効になるのか。
解雇の手続規定が労契法7条の「労働条件」に該当すれば、これを定めた就業規則が周知性と合理性の要件を満たす場合には、解雇の手続規定は労働契約の内容となり、これに違反する解雇は無効となる。
水町『詳解労働法』1004頁は、労働者の権利や地位等にかかわる手続規定は「労働条件」として労働契約の内容となり、使用者の解雇の自由に制限を加える(この手続きに反する解雇の契約上の根拠を失わせる)ものとなるとしている。
仮に、就業規則上の解雇の手続規定に違反する解雇が、それだけで直ちに無効にならないとしても、解雇が就業規則上の手続きを経ずに行われていることは、解雇の社会通念上の相当性(労契法16条)を否定する重大な要素になるであろう。