Case217 緊急看護対応業務のために緊急呼出用の携帯電話を携帯していた時間が労働時間と認められた事案・アルデバラン事件・横浜地判令3.2.18労判1270.32
(事案の概要)
原告労働者は、被告会社の運営する看護ステーションで管理者・看護師として勤務し、月額給与は管理者手当8万円を含む40万円でした。
原告ら従業員は、当番制で、終業時間後から翌営業日の始業時間まで、緊急呼出用の携帯電話を常時携帯し、利用者等から呼び出しがあれば直ちに駆けつけて看護等を行う緊急看護対応業務をしていました。実際に緊急出勤が生じる頻度は、平均担当8回に1回程度でした。
本件は、原告が、緊急看護対応業務のための待機時間のうち、睡眠をとっていた0時~6時を除いた時間が労働時間に当たるとして残業代請求した事案です。
原告の管理監督者性と、管理者手当の固定残業代性も問題になりました(いずれも否定)。
(判決の要旨)
判決は、緊急看護対応業務に従事する従業員が相当の対応をする必要が生じることが皆無に等しいなどの事情もなく、緊急看護対応業務の待機時間は全体として労働からの解放が保障されていたとはいえず、すべて被告の指揮命令下に置かれていたものとして労働時間に当たるとし、これに対する残業代と付加金を認めました。
※控訴