Case238 承継会社に事業を引き継ぐことを前提とする会社解散に伴う整理解雇を無効とし承継会社との雇用関係を認めた事案・タジマヤ(解雇)事件・大阪地判平11.12.8労判777.25

(事案の概要)

 原告労働者は、訴外A社から事業縮小及び支店廃止を理由に解雇されました(第一解雇)。原告が第一次解雇の無効を主張して仮処分を申し立てたところ、地位保全及び賃金の一部仮払いが認められました。

 その後、A社は解散決議をし、解散を理由に原告を再度解雇しました(第二解雇)。

 被告会社は、A社の在庫品、売掛金等の試算やリース契約を買い受けるなどして承継し、在籍するA社の従業員も全員雇用し、A社の事業の一部を被告会社の一事業部として継続しました。

 本件は、原告が被告会社に対して、A社の解雇の無効及びA社から被告会社への労働契約の承継を主張して、雇用契約上の地位確認等を求めた事案です。

 なお、法人格否認の法理は否定されています。

(判決の要旨)

1 整理解雇の有効性

 判決は、A社の事業を被告会社が引き継ぐことを前提とすると、A社による第一解雇は、解雇回避努力や人選の合理性は認められず、手続き的にも不当であるとして無効としました。

 また、会社解散は第一解雇の時点で予定されており、第一解雇から第二解雇までの間に事情の変更はないとして、第二解雇も無効としました。

2 労働契約の承継

 判決は、A社と被告会社との間で営業譲渡という契約形態はとられていないものの、A社の事業は事業の一体性を損なうことなくA社から被告会社へ譲渡され、単にその経営主体がA社から被告会社に代わったにすぎないとして、A社から被告会社に営業譲渡がなされたものとしました。

 そして、被告会社がA社に在籍した従業員全員を雇用していることからすると、譲渡の対象となる営業には従業員との雇用関係を含むものとして営業譲渡がなされたとし、被告会社との間で雇用契約上の地位確認を認めました。

※控訴

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