Case267 学生に対するハラスメントを理由とする教授の解雇が違法無効とされ慰謝料も認められた事案・学校法人滋賀学園事件・大津地判令4.6.30

(事案の概要)

 本件は、大学教授で、学生に対する18個のハラスメントを理由に解雇された原告労働者が、被告法人に対して、解雇の無効を主張して地位確認及び慰謝料の支払い等を求めた事案です。

(判決の要旨)

 判決は、法人が主張する解雇事由の多くについては裏付けがなく、①原告が学生に対して単位を落とした理由を詳しく説明せず「お前のために落とした」という発言をしたこと、②当該学生を陸上部の主将に就かせながら、原告の期待に沿えない当該学生に対する積極的な援助をしなかったこと、③待ち合わせ時間に遅れながら当該学生に連絡しないことがあった事実のみ認められるとしました。

 そして、原告が学生らにした対応が大学の方針に照らして厳しいものであったとしても、その是非については評価が分かれる程度のものにすぎず、解雇は無効であるとしました。

 また、突然の違法な解雇によって、原告が本件大学における教授ないし研究者としての地位を長期間にわたって失い、その間、研究活動や学生らへの指導や交流の機会を失ったことなどから、慰謝料80万円を認めました。

Follow me!