Case273 社長と口論になった際に労働者が退職の意思表示をした事実はないとして地位確認が認められた事案・PASS-I-ONE事件・東京地判令4.4.22

(事案の概要)

 原告労働者は、被告会社の社長に対して、体調不良のため翌日の勤務を休みたいと伝えたことから社長と大声での口論になり、その日のうちに私物を持ち帰り、翌日以降出勤しませんでした。

 その後、会社は原告に対して解雇予告通知書と題する書面を送付し、会社代理人弁護士から原告に対する書面にも原告を解雇した旨の記載がありました。

 本件は、原告が被告に対して、社長から「明日から来なくていい」と言われたと主張して、雇用契約上の地位の確認等を求めた事案です。会社は、原告が自ら退職の意思表示をしたと主張しました。

(判決の要旨)

 判決は、社長から「明日から来なくていい」と言われたという原告の主張は、会社が原告に対して解雇予告通知書を送付したことなどと整合するとして、会社が原告の労務の提供を拒絶したのであり、原告が退職の意思表示をした事実は認められないとして、原告の主張を認めました。

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