Case358 人事部長からの退職勧奨に続く「明日から出社しなくてよい」旨の発言が解雇の意思表示に当たるとして当該解雇を無効とした事案・みんなで伊勢を良くし本気で日本と世界を変える人達が集まる事件・名古屋高判令1.10.25労判1222.71

(事案の概要)

 原告労働者Aは、テーマパークを運営する被告会社と雇用契約を締結しましたが、労働条件は会社側から口頭で告げられただけで、試用期間3か月という説明はあったものの、最初の1か月はアルバイトという説明はありませんでした。

 原告労働者Bは、同じく会社と雇用契約を締結しましたが、労働条件は会社側から口頭で告げられただけで、試用期間3か月という説明とともに、最初の1か月はアルバイトという説明がありました。

 原告Aは、就労開始から3か月が過ぎた頃、人事部長から退職勧奨され、退職を拒否したところ、「明日から出社しなくてよい、給与の1か月分は払う。」旨告げられました。

 これに引き続き、原告Bは、人事部長から「原告Aには辞めてもらうことになったが原告Bには残ってほしいと思っている。」旨告げられ、これに強く反論したところ、人事部長から「そのようなことをいうなら原告Bに対しても退職勧奨をする」旨告げられました。原告Bが退職を拒否したところ、人事部長から「明日から出社しなくてよい」旨告げられました。

 本件は、原告らが会社に解雇されたとして、雇用契約上の地位確認等を求めた事案です。

会社は、解雇の意思表示をしていないと主張しました。

 また、会社は、原告らは最初の1か月はアルバイトであり、試用期間はその後に開始するから、本件雇用契約終了時はまだ試用期間中であったと主張しました。

(判決の要旨)

1 解雇の意思表示の有無

 判決は、人事部長が、原告らに対して「明日から出社しなくてよい」旨を最終的に明示しており、その発言に至る面談の内容が、原告らが退職勧奨に応じるか否かのやりとりとなっていたことや、出社しなくてよい日数や期間等について何も述べられていないことなどから、人事部長の発言は確定的・一方的に雇用契約を終了させる解雇の意思表示があったとしました。

2 試用期間

 判決は、原告Aについては最初の1か月はアルバイトとの合意はなく、原告Bについては最初の1か月はアルバイトとの合意があったとしましたが、いずれも試用期間は就労開始から3か月間であったと認定し、本件解雇時には試用期間は満了していたとし、解雇を無効としました。

※上告棄却により確定

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