Case424 望まない身体的な接触行為が違法なセクハラといえる判断基準を示して男性上司による女性部下に対するセクハラを違法とした事案・横浜セクシュアル・ハラスメント事件・東京高判平9.11.20労判728.12
(事案の概要)
本件は、被告子会社に勤める原告労働者(女性)が、被告親会社から被告子会社に出向していた被告上司(男性)からセクハラを受けたとして、被告らに対して損害賠償請求した事案です。
セクハラの内容は、①事務所で二人きりのときに原告の肩を叩いたり揉むなどした、②原告が重いものを持ち上げて腰を痛めた際に、よくなってきたかなどと言いながら原告の腰に触った、③事務所で二人きりの時に髪を撫でたりすくなどした、④事務所で二人きりの時に後ろから抱きついて首筋や唇にキスし、服の上から胸や下腹部を触ったり腰を原告の身体に密着させて上下に動かすなどの行為を約20分にわたって行った、というものでした。
(判決の要旨)
判決は、男性たる上司が部下の女性に対してその望まない身体的な接触行為を行った場合において、接触行為の対象となった相手方の身体の部位、接触の態様、程度(反復性、継続性を含む。)等の接触行為の外形、接触行為の目的、相手方に与えた不快感の程度、行為の場所・時刻(他人のいないような場所・時刻かなど)、勤務中の行為か否か、行為者と相手方との職務上の地位・関係等の諸事情を総合的に考慮して、当該行為が相手方に対する性的意味を有する身体的な接触行為であって、社会通念上許容される限度を超えるものであると認められるときは、相手方の性的自由又は人格権に対する侵害にあたり、違法性を有するとしました。
そして、上記①~④の一連の行為は、社会通念上許される限度を超えるものであるとして被告上司に慰謝料250万円の支払いを命じました。また、被告子会社の使用者責任を認めました。
※確定