【解雇事件マニュアル】Q39障雇法による解雇の禁止とは
(障雇法35条)
事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。
障雇法は、使用者は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならないとしている。障雇法における障害者とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう(同法2条1号)。
障害者差別禁止指針(平成27年厚生労働省告示第116号)第3の12⑵は、以下に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象を障害者とすることや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当するとしている。
イ 障害者であることを理由として、障害者を解雇の対象とすること。
ロ 解雇の対象を一定の条件に該当する者とする場合において、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
ハ 解雇の基準を満たす労働者の中で、障害者を優先して解雇の対象とすること。
ただし、同14が掲げる以下の措置を講ずる場合については、障害者であることを理由とする差別に該当しないとしている。
イ 積極的差別是正措置として、障害者でない者と比較して障害者を有利に取り扱うこと。
ロ 合理的配慮を提供し、労働能力等を適正に評価した結果として障害者でない者と異なる取扱いをすること。
ハ 合理的配慮に係る措置を講ずること(その結果として、障害者でない者と異なる取扱いとなること)。
ニ 障害者雇用の求人の採用選考又は採用後において、仕事をする上での能力及び適正の判断、合理的配慮の提供のためなど、雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に雇用の状況等を確認すること。
障雇法35条に違反する解雇は無効であろう。