【不当解雇・残業代】Case642 部下への暴言・暴行等を理由とする解雇及び就業規則上の月給制を歩合制にする合意が無効とされた事案・コーダ・ジャパン事件・東京高判平31.3.14労判1218.49

【事案の概要】

運送会社である被告Y社にトラック運転手兼配車係として勤務していた原告労働者Xは、平成26年9月、同僚への暴行、パワーハラスメント、売上申告の不正、給油カードの不正利用などを理由に解雇(本件解雇)されました。

Y社の就業規則では「月給制」と定められているにもかかわらず、Xは採用時の口頭説明等で「歩合制」を適用するとされていました。

Xは、本件解雇は無効であると主張し、労働契約上の地位確認、解雇後の賃金、および未払割増賃金(残業代)を請求しました。

残業代の争点は、①「歩合制」の合意が成立しているか、②休憩時間とされた時間や帰庫後の事務作業が労働時間に該当するかです。

【判決の要旨】

1. 本件解雇の有効性

判決は、解雇を無効と判断しました。

親睦のバーベキュー会場で部下の顔面を殴打する暴行が認定されましたが、当該暴行については、軽微な負傷でありXが直後に謝罪の意思(1万円の提供)を示していることから解雇理由としての相当性は否定されました。

また、日常的に部下に対して「死ね」「辞めちまえ」等の暴言を吐いていたことも認定されましたが、これについても事前に注意等の是正措置がとられていなかったことから、解雇を正当化する理由にはならないとされました。

会社の給油カードで約23万円の私物を購入していた事実も認定されましたが、会社も認識しながら問題視してこなかったとして、重大な非違行為には当たらないとされました。

2. 労働条件の変更(歩合制合意)の有効性

控訴審は、最高裁の規範(山梨県民信用組合事件)を引用し、本件歩合制合意の成否については、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけではなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきであるとしました。

そのうえで、Xの入社時、Y社から割増賃金の支給の有無や計算方法について十分な情報提供や説明があったとはいえず、月給制と比較して有利・不利を理解した上で同意したとは言い難いとされました。また、入社後も他の運転手との均衡で減額されるなど、純粋な歩合制とは異なる運用がなされていました。したがって、不利益変更に対する「自由な意思に基づく合理的な理由」は客観的に存在せず、就業規則通りの月給制が適用されると判断されました。

3.労働時間の認定

休憩時間中も配車連絡用の携帯電話への対応を求められており、指揮監督から解放されていたとはいえないため、休憩時間も労働時間に算入されました。また、帰庫後の事務作業も毎日平均1時間が労働時間として認められました。

※上告棄却・不受理により確定

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