Case57 元代表取締役につき未払残業代約1000万円相当の損害賠償責任を認めた事案・エイシントラスト元代表取締役事件・宇都宮地判令2.6.5労判1253.138
(事案の概要)
原告は、会社を退職後、会社を被告として残業代請求訴訟を提起し、被告の欠席判決により、会社に約1000万円の支払を命じる判決が確定しました。
しかし、判決確定後も会社が残業代を支払わないため、原告が会社の元代表取締役(原告の退職後に辞任。)に対して、上記未払残業代相当の損害賠償請求をしたのが本件です。
(判決の要旨)
判決は、会社によって賃金支払義務が履行されず、その不履行が役員の悪意又は重大な過失によるものであって、かつ、従業員が会社に対する賃金支払請求権を有するとしても、なお従業員に損害が生じているものと認められる場合には、当該会社の役員は、会社をして従業員に対し適法な賃金の支払をさせる任務を怠ったものとして、会社法419条1項に基づき、従業員に生じた損害を賠償する責任を負うと判示しました。
そして、会社の実態等から、被告は少なくとも重大な過失により自らの代表取締役としての任務を怠ったとして、原告の請求を全て認めました。
※控訴後に和解成立