Case377 対価性の判断基準を示して業務手当が固定残業代に該当するとした最高裁判例・日本ケミカル事件・最判平30.7.19労判1186.5
(事案の概要) 被告会社が経営する薬局で薬剤師として勤務していた原告労働者が残業代請求した事案です。 本件雇用契約書には、賃金について「月額56万2500円(残業手当含む)」「給与明細書表示(月額給与46万1500円 […]
Case376 採用面接においてHIV感染の事実を告げなかったことなどを理由とした内定取消しが違法とされた事案・社会福祉法人北海道社会事業協会事件・札幌地判令1.9.17労判1214.18
(事案の概要) 社会福祉士である原告労働者は、病院を運営する被告法人から内定を得たものの、採用面接における質問に対してHIVに感染している事実を告げなかったことなどを理由に内定を取り消されました。法人は、運営する病院か […]
Case375 能力等の判断に必要な合理的範囲を超えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し無効であるとした事案・ブラザー工業事件・名古屋地判昭59.3.23労判439.64
(事案の概要) 本件会社では、中途採用者を「見習社員」として、雇用期間は原則として2か月で、見習社員が「試用社員登用試験」に合格して「試用社員」になるか、試験に3回不合格になって雇止めされるまでの間、期間満了毎に自動的 […]
Case374 寮の管理人及び寮母について終業時間後及び休日の待機時間が労働時間に当たるとされた事案・共立メンテナンス事件・大阪地判平8.10.2労判706.45
(事案の概要) 原告労働者らは夫婦で、原告Aは管理人、原告Bは寮母として被告会社の寮で働いていました。 原告Aの終業時間は午後10時とされていましたが、午後11時まで電話交換業務、午後10時から午後11時まで館内巡視 […]
Case373 月80時間分相当の固定残業代の定めが公序良俗に違反し無効とされた事案・イクヌーザ事件・東京高判平30.10.4労判1190.5
(事案の概要) 固定残業代の有効性が争点となった残業代請求事件です。 原告労働者と被告会社の雇用契約では、基本給のうち一定額を月80時間分の固定残業代として支給するものとされていました。 (判決の要旨) 判決は、い […]
Case372 発症と悪化で形式的に異なる基準を用いるべきではないとして精神障害の発症時点では業務起因性が認められなかったものの悪化時点で業務起因性が認められた事案・国・北九州東労基署長(TOTOインフォム)事件・福岡地判令4.3.18労判1286.38
(事案の概要) 労災不支給決定に対する取消訴訟です。 原告は、業務内容や業務量の変化や、上司に当たるAから厳しく指導を受けるなどし、平成23年4月にうつ病などと診断され(本件発症)、休業しましたが、同年7月に復職しま […]
今日の労働裁判例一覧
番号 事件名 裁判所 種類 日付 雑誌 分野タグ 地方 審級 事案の概要・リンク 備考 Case1 千鳥ほか事件 広島 高 判 R3.3.26 労判1248.5 残業代 損害賠償 外国人 技能実習生に […]
Case371 労働者を退職に追い込む目的で行われた減給措置及び配転命令が無効とされ、横領を認める確認書に署名させられたことをもって労働者が横領を認めたとはいえないとされた事案・Ciel Bleuほか事件・東京地判令4.4.22労判1286.26
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社と雇用契約を締結し、本社(東京)で営業の部長職として業務を行っていました。 原告は、被告執行役員と面談し、原告の素行が問題であるとして部長職から課長職に降格され、これに伴い月額給 […]
Case370 通常の労働時間の賃金部分と割増賃金部分を判別できないことから年俸に割増賃金が含まれているとはいえないとした最高裁判例・医療法人社団康心会事件・最判平29.7.7労判1168.49
(事案の概要) 被告法人と本件雇用契約を締結し、医師として勤務していた原告労働者が残業代請求した事案です。 本件雇用契約では、賃金は年俸制(総額1700万円)で、内訳は①本給(月86万円)、②諸手当(役付手当3万円、 […]
Case369 就業規則に試用期間延長の規定がない場合、やむを得ない事情がない限り労働者の同意を得たとしても試用期間の延長は無効であるとした事案・明治機械事件・東京地判令2.9.28判時2493.103
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社と試用期間3か月の無期雇用契約を締結しました。雇用契約や就業規則に試用期間延長の定めはありませんでした。 会社は、試用期間満了前に原告に対して、試用期間を1か月延長する旨の試用期 […]