残業代請求の時効
目次
1 残業代請求の時効は2~3年
従前残業代請求権の時効は2年とされていましたが、令和2年4月に改正民法が施行され、それ以降に発生した残業代請求権の時効は3年に延長されました。
なので、現在は、
・令和2年3月までに発生した残業代の時効は2年
・令和3年4月以降に発生した残業代の時効は3年
となっています。
残業代請求権は、毎月の給料日に発生し(厳密に言うと請求可能になり)、2~3年後の給料日を過ぎると月々時効で消えていってしまいます。例えば、令和3年8月15日の給料日を過ぎると、2年前の令和元年8月15日の給料日に発生していた残業代請求権は時効により消滅します。
残業代請求時に会社に在籍している必要はないので、会社を辞めた後でも、2~3年前の残業代を遡って会社に請求することができます。
2 時効を止めるためには
⑴ 催告による時効停止
残業代請求の時効は、残業代を会社に請求することで6か月間停止します(これを催告といいます。)。催告から6か月が経過すると、催告による時効の停止は無かったことになってしまいます。催告をもう一度繰り返すことはできません。6か月を超えて時効を止めるためには、催告から6か月以内に後述する訴訟等の法的手続きをとる必要があります。
催告には、請求債権さえ特定されていれば具体的な請求金額を書く必要はありません。残業代請求を思い立ったら、細かい計算が出来ていなくても、まずは「発生している全ての残業代を請求する。」旨の請求書を会社に送っておくとよいでしょう。
⑵ 訴訟等による時効中断
残業代請求の時効は、訴訟等の法的手続きをとることで手続き中完全にその進行を中断することができます。たとえ訴訟に2年かかったとしても、その間残業代請求の時効は完成しません。