2022年5月

今日の労働裁判例
Case121 営業担当取締役からの4度の降格処分及びこれに伴う4度の減給処分がいずれも人事権の濫用に当たり無効とされた事案・ハネウェル・ターボチャージング・システムズ・ジャパン事件・東京地判平16.6.30労判879.37

(事案の概要)  被告会社は、原告労働者を平成12年4月に営業担当取締役(年収1400万円)に任命しましたが、同年9月にOEM担当営業部長兼IAM担当営業部長に、同年10月にはIAM担当営業部長に降格させました(第1次降 […]

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Case120 非管理職間の降格は管理職の降格と比べて使用者の裁量が狭いとされ部長待遇から課長待遇への降格が無効とされた事案・近鉄百貨店事件・大阪地判平11.9.20労判778.73

(事案の概要)  被告会社では、原則として55歳以上の管理職は、待遇職(部長待遇・課長待遇等)に降格し役職級が4割カットされる待遇職制度を導入していました。  原告労働者は、55歳になり、部長から部長待遇職に降格になりま […]

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Case119 予定表の紛失を理由とする婦長から平看護婦への降格が人事裁量の逸脱として無効とされた事案・医療法人財団東京厚生会事件・東京地判平9.11.18労判728.36

(事案の概要)  被告法人が経営する病院で看護師として勤務していた原告労働者は、予定表の紛失を理由に婦長から平看護婦に二段階降格され月5万円の役職手当が不支給となり、その後自主退職しました。  本件は、原告が降格減給の無 […]

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Case118 役職手当は一種の職能資格手当であり、客観的合理的理由を欠く役職者の降格は人事権の濫用として無効であるとした事案・光輪モータース(賃金減額)事件・東京地判平18.8.30労判929.51

(事案の概要)  原告ら労働者20名は、労働組合を結成した後に、被告会社から各種手当の減額を受けたため、各種手当は実質的に基本給であり、これを一方的に減額することは出来ないと主張し、また組合員に対する手当の減額は不当労働 […]

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Case117 賃金債権の放棄がされたというためには、労働者の自由な意思に基づくことが明確でなければならないとした最高裁判例・テックジャパン事件・最判平24.3.8労判1060.5

(事案の概要) ⑴ 社会保険への加入  原告労働者は、雇用契約締結時、被告会社から、手取りの金額を増やしたいのであれば、自分で国民健康保険や国民年金に加入する方法もある等の説明を受け、雇用保険には入りたいと答えました。会 […]

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Case116 賃金債権との相殺の合意は労働者の自由な意思に基づく必要があるとした最高裁判例・日新製鋼事件・最判平2.11.26労判584.6【百選10版32】

(事案の概要)  本件労働者は、退職した場合には退職金等から全額一括弁済するとの約定で、被告会社や銀行等から住宅資金の借入れをしていました。その後、本件労働者は、破産状態となったため、会社に対して、退職を申し入れるととも […]

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Case115 退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくことが明確である必要があるとした最高裁判例・シンガー・ソーイング・メシーン・カムパニー事件・最判昭48.1.19労判289.203

(事案の概要)  被告会社に勤務していた原告労働者は、就業規則上約400万円の退職金債権を有していましたが、「原告は会社に対し、いかなる性質の請求権をも有しないことを確認する」との本件書面に署名して会社を合意退職しました […]

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Case114 賃金減額の書面がなく、書面がない合理的な理由の説明もないことから賃金減額の合意が否定された事案・シー・エー・ピー事件・東京地判平26.1.31労判1100.92

(事案の概要)  原告労働者ら3名は、被告会社に対して、一方的に減額された賃金の支払いを求めました。これに対して、会社は、原告らが賃金減額に同意していたと主張しました。 (判決の要旨)  判決は、賃金の減額という重大な内 […]

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Case113 3年間減額後の賃金を受領していたとしても賃金減額に黙示の合意は認められないとした事案・NEXX事件・東京地判平24.2.27労判1048.72

(事案の概要)  被告会社は、原告労働者に対して、月額60万円を基準として給与を支払っていました。会社は、全従業員に対し説明会を開き、売上が振るわないため業績変更時の給与支給水準を設けたい旨説明し、従業員から反対の声は上 […]

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Case112 賃金減額の提案に対して「ああ分かりました」と応答しただけでは賃金減額の同意は認められないとした事案・ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件・札幌高判平24.10.19労判1064.37

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社の経営する本件ホテルで料理人として働いていましたが、料理人の賃金は、個別契約でばらばらに定められていました。  会社は、賃金のばらつきを解消し、合理的な賃金体系に改めることとし、賃 […]

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