Case143 リハビリ勤務中は無給とする合意があったとしても労基法上の労働に当たる以上最低賃金を支払う必要があるとされた事案・NHK(名古屋放送局)事件・名古屋高判平30.6.26労判1189.51
(事案の概要)
NHKに勤務していた原告労働者は、精神疾患により休職したのち、休職期間満了により解職されました。
原告は、休職期間中にテスト出局(リハビリ勤務)を行いましたが、途中でテスト出局中止とされていました。NHKのテスト出局は、業務ではなくリハビリであり、無給で労災の対象外とされていました。
本件は、原告が解職の無効を主張して雇用契約上の地位確認等を求めるとともに、テスト出局が労働であることを主張してテスト出局開始後の賃金の支払い等を求めた事案です。
(判決の要旨)
判決は、テスト出局中に原告が行った作業について、労働契約上の本来の債務の本旨に従った労務の提供を行ったとはいえず、給与規程に基づく賃金の請求は認められないとしました。
もっとも、休職者は事実上、テスト出局において業務を命じられた場合にそれを拒否することは困難な状況にあるから、単に本来の業務に比べ軽易な作業であるからといって、賃金請求権が発生しないとまではいえず、当該作業が使用者の指示に従って行われ、その作業の成果を使用者が享受しているような場合等には、当該作業は労基法11条の「労働」に該当し、無給の合意があっても、最賃法の適用によりテスト出局については最低賃金を支払うことが契約内容となり、最低賃金の賃金請求権が発生するとし、テスト出局中の最低賃金額の支払いを認めました。
なお、解職は有効と判断されています。
※上告