Case144 降格・減給を基礎づける就業規則の変更は賃金に関する不利益変更であり高度の必要性に基づいた合理的な内容でなければならないとした裁判例・アーク証券事件・東京地決平8.12.11労判711.57

(事案の概要)

 賃金仮払いの仮処分の事案です。

 本件会社の旧就業規則には「社員の給与については、別に定める給与システムによる。」とのみ定められ、具体的な給与の細目は毎年改定される給与システムによって定められていました。後に、就業規則変更により給与規程が新設され、「基本給(職能給)は……職能資格に基づき決定」し、人事考課により昇減給するとされました(新就業規則)。

 本件は、新就業規則の規定により基本給(職能給)等を減額された本件労働者ら2名が、減額の無効を主張し差額賃金の仮払いを求めた事案です。

(判決の要旨)

 判決は、賃金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項がそのような不利益を労働者に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである必要があるとしたうえ、新就業規則における給与規程の定めも降格・減給を基礎づけるものであって、賃金に関する不利益な就業規則の変更にあたるとしました。

 本件では会社から給与規程の定めについて高度の必要性及びその合理性についての主張及び疎明がないとして、就業規則の変更を無効としました。

 そして、無効な新就業規則に基づく基本給(職能給)等の減額は就業規則上の根拠を欠くものとして無効とし、賃金仮払いを一部認めました。

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