Case203 留学の業務性を認め留学後5年以内に退職した場合に留学費用を返還する旨の規程が労基法16条に違反するとした事案・新日本証券事件・東京地判平10.9.25労判746.7
(事案の概要)
原告会社が被告労働者に対して、約540万円の留学費用の返還を求めた事案です。
会社の留学規程には、留学修了後5年以内に自己都合により退職した場合は、原則として留学に要した費用を全額返済させる旨定められていました。
被告労働者は、会社の留学規程に基づき、約1年4か月アメリカに留学し、その後4年弱で自己都合退職しました。
(判決の要旨)
判決は、会社が海外留学を業務命令として扱っていること、会社の業務に関連のある学科を専攻するように定め、留学期間中の待遇も勤務している場合に準じていること等から、本件留学は業務性を有するものであるとしました。
そして、留学規程のうち費用返還の規定は、海外留学後の会社への勤務を確保することを目的とし、退職する者に対する制裁の実質を有するから、違約金ないし損害賠償の予定を禁止する労基法16条に違反し無効であるとしました。
※確定