Case282 業務の拒否や社長に対する言動が解雇理由に当たるものの解雇は無効とされた事案・Sparkle事件・東京地判令4.3.30
(事案の概要)
被告会社から業務命令違反等を理由に解雇された原告労働者が、会社に対して雇用契約上の地位の確認等を求めた事案です。
会社は、原告に対して、書類の返還や電磁的記録の消去、弁護士費用605万円等の損害賠償を求めて反訴しました。
(判決の要旨)
1 解雇
判決は、原告による業務の拒否(会社のカスタマーサポート部門が担当していた会社顧客の銀行口座情報の確認・登録業務を行うよう依頼されたにもかかわらず、これを拒否したこと)、及び会議における言動(社長に対して、代表取締役Aは要らない、会社がやっていることは脱税である、会社が税務調査の結果において問題がなかったのは嘘をついたからである、会社は違法である、社長もアウトである、捕まればいいなどと述べたこと)は解雇理由に当たるとしましたが、経緯等からして解雇を相当とするほどの事情とはいい難く、本件解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとして、解雇無効としました。
2 会社からの請求
原告が占有していると認められる会社所有の文書についてのみ返還請求を認め、その余の書類や電磁的記録については原告が占有・管理しているとは認められないとしました。 また、弁護士費用についても、因果関係は直ちに認め難いなどとして請求を棄却しました。