Case284 従業員が雨に濡れた屋外階段で滑って転倒したことについて会社の安全配慮義務違反が認められた事案・第一興商事件・東京高判令4.6.29
(事案の概要)
被告会社が運営する本件店舗では、調理担当従業員が屋外にある本件階段を使って食材の運搬等をしていました。その際に使用されていた本件サンダルは、裏面が摩耗して滑りやすくなっており、複数の従業員が階段で足を滑らせ転倒していました。
原告は、雨に濡れて滑りやすくなっている本件階段を本件サンダルで移動しようとした際、滑って転倒し負傷しました。
本件は、原告が会社に対して、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求をした事案です。
(判決の要旨)
判決は、本件店舗の現場責任者が、本件事故前に別の従業員が階段で転倒した事実を把握していたことから、会社は、本件事故時において、調理担当従業員に対して本件階段の使用について注意を促したり、本件階段に滑り止めの加工をしたりするなどの措置を講じ、原告を含む調理担当従業員が、本件階段を安全に使用することができるよう配慮すべき義務を負っていたとし、会社が当該安全配慮義務に違反したとして損害賠償を認めました。
もっとも、原告の過失割合を4割として過失相殺しました。