Case298 職員の時間外勤務の時間や業務負担の管理等について市の安全配慮義務違反が認められた事案・青森市事件・青森地判令4.9.27
(事案の概要)
原告労働者は、被告青森市の職員として、成人式の開催に関する事項と担当していたところ、執務中に気分が悪くなり、トイレにて激しく嘔吐した後に廊下で意識を失い病院に救急搬送されて入院しました(本件災害)。
原告は、3か月から時間外労働時間が急増し、その間の平均時間外労働時間は80時間を超えていました。
本件は、原告が青森市に対して、本件災害について安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求等をした事案です。
(判決の要旨)
判決は、本件災害前3か月の平均時間外労働時間が80時間を超えていたことから、原告には相当程度業務の負荷が発生していたとしました。
また、成人式の開催に関する事項は、処理が間に合わない場合や失敗した場合の影響が非常に大きい要素を有する内容であったことに加え、原告は当該事項を担当したことが初めてであり、ほかに担当者がいなかったことからすれば、原告にとって当該業務は相当程度精神的な負荷を伴う内容であったとし、本件災害は業務上の負荷に起因して生じたものと認められるとしました。
そして、青森市は、本件災害発生までの期間について、原告が担当していた業務につき、時間外勤務の時間や業務負担を管理し、その見直しや配慮をすべき安全配慮義務を怠ったとし、慰謝料100万円等の請求を認めました。