Case301 トラックドライバーの業績手当及び運行手当が固定残業代に該当せず、無事故手当が除外賃金に含まれないとされた事案・住吉運輸事件・大阪地判令4.10.13
(事案の概要)
トラックドライバーである原告労働者が、被告会社に対して残業代請求した事案です。
業績手当、運行手当、休日手当が残業代に該当するか、無事故手当が除外賃金に含まれるかが争点となりました。
(判決の要旨)
1 判断基準
判決は、使用者が労働者に対して労基法37条の割増賃金を支払ったというためには、その前提として、労働契約における賃金の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であるとしました。
そして、手当につき上記の判別をすることができるというためには、当該手当が時間外労働等に対する対価として支払われていることを要するとしました。
2 業績手当及び運行手当
本契約締結時に会社が原告に対して業績手当及び運行手当を時間外労働に対する対価として支払う旨を説明したとは認められず、契約書及び就業規則にもその旨の規定はなく、その名称からも時間外労働に対する対価であると理解することも困難であるとして、残業代に該当しないとしました。
3 休日手当
休日手当は、原告が所定休日に勤務した際に支払われていることから、就業規則上の「休日労働割増賃金」として支払われたものとして、残業代に該当するとしました。
4 無事故手当
無事故手当は、就業規則上に定めがあり、一定の条件を満たせば一定の額が支払われる性質を有していたと認められ、労基法37条5項及び同施行規則21条所定の除外賃金に含まれず、その名称に照らせば勤務中に交通事故を生じさせなかったことによって支払われるものと推認されるから、通常の労働時間における労働の成果に対する対価であり、基礎賃金に含まれるとしました。