Case411 全国転勤のある正社員とない契約社員との間の無事故手当・作業手当・給食手当・皆勤手当・通勤手当の差異が旧労契法20条の不合理な格差に当たるとした最高裁判例・ハマキョウレックス(差戻審)事件・最判平30.6.1労判1179.20

(事案の概要)

 契約社員として被告会社と有期雇用契約を締結していた原告が、正社員との間の下記の労働条件の相違が旧労契法20条の不合理な格差に当たるとして、損害賠償請求した事案です。

 正社員と契約社員の職務内容には違いはありませんでしたが、正社員は全国規模の広域異動の可能性がありました。

正社員契約社員結論
無事故手当1万円なし不合理
作業手当1円なし不合理
給食手当3500円なし不合理
住宅手当2万円なし不合理ではない
皆勤手当1万円なし不合理
通勤手当あり(正社員より少ない)不合理

(判決の要旨)

1 住宅手当

 正社員は転居を伴う配転が予定されているため、契約社員と比較して住宅に要する費用が多額となり得るとして、契約社員への不支給が不合理な格差に当たるとはいえないとしました。

2 皆勤手当

 皆勤手当について、契約社員と正社員の職務内容は異ならず、出勤する者を確保することの必要性については違いがないとして、契約社員への不支給が不合理な格差に当たるとしました。

3 無事故手当

 無事故手当について、安全運転及び事故防止の必要性については正社員と契約社員で違いはないとして、契約社員への不支給が不合理な格差に当たるとしました。

4 作業手当

 特定の作業を行った者に支給するとされていた作業手当について、当該手当は作業そのものを金銭的に評価して支給される性質の賃金であるとして、契約社員への不支給が不合理な格差に当たるとしました。

5 給食手当

 勤務時間中に食事を取ることを要することは正社員と契約社員で違いはないとして、契約社員への不支給が不合理な格差に当たるとしました。

6 通勤手当

 通勤に要する費用は正社員と契約社員で違いはないとして、正社員との間に際を設けることは不合理であるとしました。

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