Case412 正社員と労働内容が同一の女性臨時雇用員の賃金が同じ勤続年数の女性正社員の8割以下となる場合に公序良俗違反になるとした事案・丸子警報器事件・長野地上田支判H8.3.15労判690.32

(事案の概要)

 旧労契法20条制定前の事案です。

 女性臨時社員である原告労働者ら28名は、正社員と勤務時間も勤務日数も変わらないフルタイムのパート労働者として同じ仕事をしてきたにもかかわらず、過去5年間に約230万から550万円の賃金差別を受けたとして、被告会社に対して、不法行為に基づき正社員との差額賃金相当額の損害賠償等を求めました。

(判決の要旨)

 判決は、原告ら臨時社員の労働内容が女性正社員と全く同一(同じ業務、勤務時間・日数)であるにもかかわらず両者間に賃金格差を設けている会社の賃金制度は、同一(価値)労働同一賃金の原則の根底にある均等待遇の理念に違反する格差であり、公序良俗違反として違法となるとしました。

 そして、臨時雇用員の賃金が同じ勤続年数の女性正社員の8割以下となる場合に、会社の裁量が公序良俗違反になるとして、正社員の賃金の8割との差額分の損害賠償を認めました。

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