Case450 国が公務員に対して安全配慮義務を負うことを明示した最高裁判例・自衛隊車両整備工場事件・最判昭50.2.25労判222.13
(事案の概要)
自衛隊員である本件労働者は、自衛隊の車両整備工場で車両の整備をしていたところ、同僚の運転する大型自動車に頭部を轢かれて即死しました。
本件は、本件労働者の遺族である原告らが、国に対して安全配慮義務違反を主張して損害賠償請求した事案です。
第一審、控訴審はいずれも原告らの請求を棄却していました。
(判決の要旨)
判決は、国は公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っており、その具体的内容は、公務員の職種、地位及び安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なるべきものであり、自衛隊員の場合にあっては、さらに当該勤務が通常の作業時、訓練時、防衛出動時、治安出動時又は災害派遣時のいずれにおけるものであるか等によっても異なるとしました。
そして、安全配慮義務違反について審理を尽くさせるために控訴審判決を破棄して高裁に差し戻しました。