Case452 下請業者の労働者に対する元請業者の安全配慮義務違反を認めた最高裁判例・三菱重工業神戸造船所事件・最判平3.4.11労判590.14
(事案の概要)
元請の被告会社から注文を受けた下請企業の労働者である原告労働者らは、社外工として被告会社の造船所で社外工としてハンマー打ち作業等に従事し、聴力障害(難聴)を発症しました。
本件は、原告らが被告会社に対して、安全配慮義務違反を主張して損害賠償請求した事案です。
(判決の要旨)
判決は、原告らが被告会社の造船所で労務を提供するに当たっては、いわゆる社外工として、被告会社の管理する設備、工具等を用い、事実上被告会社の指揮、監督を受けて稼働し、その作業内容も被告会社の従業員であるいわゆる本工とほとんど同じであったというのであり、このような事実関係の下においては、被告会社は、下請企業の労働者である原告らとの間に特別な社会的接触の関係に入ったもので、信義則上、原告らに対し安全配慮義務違反を負うとし、原告らの一部について請求を認めました。