Case464 試用期間から本採用となり地位や仕事の量・質が変化した後の長時間労働を総合評価して適応障害発症及び自殺の業務起因性を認めた事案・青森三菱ふそう自動車販売事件・仙台高判令2.1.28労判1297.147

(事案の概要)

 本件労働者は、平成27年4月に被告会社に入社し自動車整備等の業務に従事していました。同年6月までは試用期間として中堅社員の下で整備を行っていましたが、同年7月以降は一人で整備を行うようになりました。また、月100時間前後の時間外労働もありました。

 本件労働者は、平成28年1月に適応障害等を発症し、4月16日、会社の事業所内でワイヤーに首を吊った状態で発見され、救急搬送されましたが後日死亡しました。

 労基署は、本件労働者は平成28年1月上旬には業務に起因して適応障害を発症し、これにより自殺するに至ったとする労災認定をしました。

 本件は、本件労働者の両親である原告らが、会社に対して損害賠償請求した事案です。

(判決の要旨)

 判決は、以下の労基署の判断が不合理ではないとして適応障害等の業務起因性を認めました。

 ・「仕事の量・質」として、試用期間中は中堅社員の下で業務に従事していたところ、平成27年7月から本採用となり、1人で車検整備作業をするようになったことなどが心理的負荷の強度「中」に当たる。

 ・「地位が変わった」として、試用期間から本採用となり地位が変わり、複数でしていた業務を1人でするようになったことが心理的負荷の強度「中」に当たる。

 ・平成28年1月の発症前6か月間に概ね65時間~105時間の時間外労働をしていたことも踏まえると、心理的負荷の総合評価は「強」となる。

 そして、本件労働者の上司らは、本件労働者に業務上の役割・地位の変化及び仕事量・質の大きな変化があって、その心理的負荷に特別な配慮を要すべきであったところ、長時間労働の実態を知り、又は知り得べきであったのに、これを軽減しなかったとして、上司らの安全配慮義務違反を認め、使用者責任により会社の損害賠償責任を認めました。

※確定

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