【解雇事件マニュアル】Q26労基法19条1項の「休業」には一部休業も含まれるか
労基法19条1項の「休業」には、一部出勤しながら治療のため通院しているような一部休業も含まれるのか。
この点、厚労省『労基法上』288頁は、労基法19条1項本文の「休業」とは、原則として全部休業の意であって、出勤しながら治療のため通院しているような一部休業は、本条にいう休業には該当しないと解すべきであろうとしている。
これに対して、平和産業事件・神戸地決昭47.8.21判時694号113頁は、休業とは、労働者が業務上の傷病を理由にそれが回復しない間に解雇されると新たな職場を見つけることが極めて困難であって労働者の生活を脅かすことを考えると、必ずしも傷病後解雇にいたるまで全部休業することは必要ではなく、一部休業でも足りるというべきであるとした。大阪築港運輸事件・大阪地決平2.8.31労判570号52頁も、労基法19条1項本文における「休業」とは、必ずしも全部休業である必要はなく、一部休業でも足りるとしている。 菅野ら『労働法』741頁も、前掲大阪築港運輸事件を引用して「休業」には全部休業のみならず一部休業も含まれるとしている。