【解雇事件マニュアル】Q28業務上災害による療養者の解雇制限の例外は

1 労基法81条の打切補償を支払う場合

1つ目の例外として、労基法19条1項ただし書は、使用者が労働者に対して同法81条の規定による打切補償を支払う場合には、同法19条1項本文の解雇制限を適用しないとしている。

 同法81条は、同法75条の規定によって療養補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合に、使用者は、平均賃金の1200日分の打切補償を行うことで、その後は労基法上の補償を行わなくてもよいとしている。

 したがって、使用者は、業務上災害により療養している労働者に対して平均賃金の1200日分の打切補償を支払うことで、労働者を解雇することができる。

2 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

 2つ目の例外として、労基法19条1項ただし書は、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合には、同法19条1項本文の解雇制限を適用しないとしている。

 「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」とは、労基法20条1項ただし書のそれと同じ意味である(昭63.3.14基発150号)。

 この場合、例外とされる事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければならないとされている(同条2項)が、労基法20条3項の場合と同様、除外認定は解雇の効力発生要件ではなく、客観的に除外事由が存在する場合には除外認定のない解雇も有効である。

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