Case313 契約書を交わすことなく締結された契約が業務委託契約ではなく労働契約であるとして会社による一方的な契約解消が無効とされた事案・TWS Advisors事件・東京地判令4.3.23労経速2507.28

(事案の概要)

 原告労働者は、契約書を交わすことなく被告会社と本件契約を締結し、主として不動産取引業務を行っていました。

 会社は、本件契約が土地の仕入れを委託内容とする業務委託契約であるとして、一方的に本件契約を解消しました。

 本件は、原告が会社に対して、本件契約が労働契約であり一方的な解消は無効であると主張して、雇用契約上の地位確認等を求めた事案です。

(判決の要旨)

 判決は、以下の事情を考慮して、本件契約が労働契約であるとし、労働契約の終了原因がないとして、地位確認等を認めました。

⑴ 指揮命令関係

・原告の業務が、土地の仕入れのみならず、従業員の管理及び採用面接、議事録の作成及び訴訟対応など多岐に渡っており、原告が執行役員あるいは部長という肩書で会社組織に組み込まれていたこと

・会社の業務指示が特定の案件における細かい業務分担や部下従業員への指導方法に及んでいるなど、原告が受ける業務指示の内容が個別具体的で、業務の指示に対する諾否の自由や労務提供の代替性を有していたとはいえないこと

・勤務時間についてタイムカード等により厳格に管理されておらず、始業終業時刻について明確な定めがなかったものの、スケジュールの常時共有を求められ、ほぼ毎日概ね9時頃から会社事務所か取引先において業務を行っており、休日も業務を行うことがあり、実体として勤務時間や勤務場所の裁量が大きいとはいい難いこと

⑵ 報酬の労務対償性

・売上に応じたインセンティブもあるものの、休日出勤の日数に応じた報酬が支払われたり、一定の月額報酬が支払われていたことから、報酬が特定の業務の結果に対してではなく、労務の提供全体に対して支払われていること

⑶ その他の事情

・経費の負担がなく、会社から従業員証明書、机、パソコン及びメールアドレスのほか、無償で社宅が用意されており、個人事業者としての性格が強いとはいえないこと

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