今日の労働裁判例
【労災、精神障害、管理監督者】Case431 部下を指揮監督していたとしても割増賃金の支給すら決定権限を有していないことから管理監督者性を否定した労災取消訴訟・国・広島中央労基署長(アイグランホールディングス)事件・東京地判令4.4.13労判1289.52
(事案の概要) 原告労働者が、労基署長が行った原告が管理監督者であることを前提とした労災支給決定の取消しを求めた取消訴訟です。 原告は、会社において、取締役会と管理本部の下にある管理本部経理部長の地位にあり、経理課と […]
【不当解雇、休職】Case430 休職理由である適応障害とは異なるコミュニケーション能力等の問題を理由とした自然退職扱いを無効とした事案・シャープNECディスプレイソリューションズほか事件・横浜地判令3.12.23労判1289.62
(事案の概要) 原告労働者は、職場で度々涙を流すようになり、適応障害と診断され、被告会社から平成28年3月から平成29年7月まで休職を命じられました。 原告の主治医は、原告がASD(自閉症スペクトラム)だと考えました […]
【セクハラ、損害賠償】Case429 男性従業員の女子トイレへの侵入事件について会社が適切な事後対応を怠ったとして女性従業員に対する慰謝料が認められた事案・仙台セクハラ(自動車販売会社)事件・仙台地判平13.3.26労判808.13
(事案の概要) 原告労働者(女性)は、被告会社店舗の女子トイレ内の掃除用具置場内に、男性従業員Aが潜んでいたのを発見しました(本件侵入事件)。Aは、原告に対して、女子トイレの写真を撮影して雑誌に売るのぞき見目的でトイレ […]
【役員の責任】Case428 2つの会社が実質的に同一であるとして法人格否認の法理を適用するとともに未払賃金について会社法429条の取締役の責任を認めた事案・エヌアイケイほか事件・大阪高判令5.1.19労判1289.10
(被告ら略称) Y1社 ㈱エヌアイケイ(平成30年3月設立) Y2社 コミュニケーションズネットワーク㈱(令和元年6月設立) Y3 乙山(Y1代表取締役、Y2取締役) Y4 丁原(Y1取締役、Y2取締役) Y5 丙川(Y […]
【セクハラ、損害賠償】Case427 懇親会の二次会において行われた上司から部下に対するセクハラについて会社の使用者責任を認めた事案・大阪セクハラ(S運送会社)事件・大阪地判平10.12.21労判756.26
(事案の概要) 原告労働者(女性)は、男性ドライバーとチームを組んで荷物や書類を集配するオフィスコミュニケーター(OC)として被告会社に勤務していました。原告は、上司にあたるドライバーである被告従業員(男性)が、ドライ […]
【名誉毀損】Case426 雇止めを有効として労働者の本訴を棄却し、労働者の提訴記者会見及びインタビューでの発言は違法な名誉毀損に当たらないとして会社の反訴も棄却した事案・コード事件・京都地判令4.9.21労判1289.38
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社から受けた新型コロナウイルス感染症拡大に関連する本件雇止めが無効であると主張して、本件訴訟を提起しました。 原告は、本件訴訟を提起したことについてマスコミのインタビューに応じて自 […]
【セクハラ、懲戒処分】Case425 女性従業員に対して繰り返しセクハラ発言等をした男性管理職に対する出勤停止処分等を有効とした最高裁判決・L館(海遊館)事件・最判平27.2.26労判1109.5
(事案の概要) 水族館を運営する被告会社で管理職として勤務していた原告労働者ら2名(男性)は、それぞれ女性従業員に対してセクハラ等をしたことを理由に出勤停止の懲戒処分及び降格処分を受けました。 本件は、原告らが会社に […]
【セクハラ、損害賠償】Case424 望まない身体的な接触行為が違法なセクハラといえる判断基準を示して男性上司による女性部下に対するセクハラを違法とした事案・横浜セクシュアル・ハラスメント事件・東京高判平9.11.20労判728.12
(事案の概要) 本件は、被告子会社に勤める原告労働者(女性)が、被告親会社から被告子会社に出向していた被告上司(男性)からセクハラを受けたとして、被告らに対して損害賠償請求した事案です。 セクハラの内容は、①事務所で […]
【退職無効】Case423 公務員が病気休暇中に上司から示されて提出した退職願が、自由な意思に基づかず無効であるとされた事案・栃木県・県知事(土木事務所職員)事件・宇都宮地判令5.3.29労判1293.23
(事案の概要) 原告労働者は、平成3年に栃木県知事によって被告栃木県の技術吏員に任命され、県内の土木事務所で勤務していましたが、平成27年から双極性感情障害を理由に180日間の病気休暇を取得し、478日間休職し、平成2 […]
【セクハラ、損害賠償】Case422 違法なセクハラの判断基準を示して家政婦が社長から受けた強制わいせつ行為を含むセクハラ及び殴打を違法とした事案・金沢セクシュアル・ハラスメント事件・名古屋高金沢支判H8.10.30労判707.37
(事案の概要) 原告労働者(女性)は、家政婦として被告会社の被告社長(男性)の昼食と夕食の支度、洗濯・部屋の片づけや庭の手入れ、電話番、郵便物を営業所に持っていく業務を行っていました。 社長は原告に対して、飲酒の上猥 […]