今日の労働裁判例
【配置転換、降格、賃金減額、損害賠償】Case371 労働者を退職に追い込む目的で行われた減給措置及び配転命令が無効とされ、横領を認める確認書に署名させられたことをもって労働者が横領を認めたとはいえないとされた事案・Ciel Bleuほか事件・東京地判令4.4.22労判1286.26
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社と雇用契約を締結し、本社(東京)で営業の部長職として業務を行っていました。 原告は、被告執行役員と面談し、原告の素行が問題であるとして部長職から課長職に降格され、これに伴い月額給 […]
【残業代、管理監督者、固定残業代】Case370 通常の労働時間の賃金部分と割増賃金部分を判別できないことから年俸に割増賃金が含まれているとはいえないとした最高裁判例・医療法人社団康心会事件・最判平29.7.7労判1168.49
(事案の概要) 被告法人と本件雇用契約を締結し、医師として勤務していた原告労働者が残業代請求した事案です。 本件雇用契約では、賃金は年俸制(総額1700万円)で、内訳は①本給(月86万円)、②諸手当(役付手当3万円、 […]
【不当解雇、試用期間】Case369 就業規則に試用期間延長の規定がない場合、やむを得ない事情がない限り労働者の同意を得たとしても試用期間の延長は無効であるとした事案・明治機械事件・東京地判令2.9.28判時2493.103
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社と試用期間3か月の無期雇用契約を締結しました。雇用契約や就業規則に試用期間延長の定めはありませんでした。 会社は、試用期間満了前に原告に対して、試用期間を1か月延長する旨の試用期 […]
【残業代、固定残業代、賃金控除、損害賠償】Case368 使用者が実態と異なることを理由に就業規則の拘束力を否定することは許されず、出来高払制とされていたトラックドライバーにも日給月給制を採用する就業規則が適用されるとした事案・大島産業事件・福岡高判平31.3.26労経速2393.24
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社で長距離トラックドライバーとして勤務していました。 会社は本件就業規則作成時には土木工事業のみを営んでおり、従業員の賃金体系を日給月給制としていました。しかし、その後始めた運送業 […]
【不当解雇、内定取消し】Case367 違法な内定取消しがなければ試用期間3か月は雇用されていたはずとして給与3か月分の逸失利益が損害として認められた事案・World LSK事件・東京地判平24.7.30労経速2154.24
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社の中途採用の面接を受け、給与月額50万円、試用期間3か月という条件で内定を得たため、前職場に退職届を提出しました。 ところが、原告は、就労開始予定日の翌日になって、突然被告の副社 […]
【労働組合、休業】Case366 労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」は民法536条2項より広く、使用者側に起因する経営・管理上の障害も含むとした最高裁判例・ノースウエスト航空事件・最判昭62.7.17労判499.6【百選10版99】
(事案の概要) 航空会社である被告会社は、羽田等における労働組合のストライキにより、スト対象外の大阪・沖縄営業所においても操業が不可能になったとして、これらの営業所の従業員であった原告らに対して休業を命じ、その間の賃金 […]
【労働者性、フリーランス】Case365 固定+歩合制の配送業者の労働者性を認め、固定給を労基法27条の保障給と同様のものであるとして売上が固定給に不足する分を労働者負担とする契約を無効とした事案・東陽ガス事件・東京地判平25.10.24労判1084.5
(事案の概要) 原告労働者らは、被告会社と当初「業務委託契約書」に加え「雇用契約書」を締結してLPガスボンベの配送等の業務を行っていました。 雇用契約書には月給22万円と記載されていましたが、業務委託契約書上は出来高 […]
【不当解雇、試用期間】Case364 試用期間延長の根拠も事実もないとして試用期間の延長を認めず試用期間満了後の解雇を無効とした事案・グローバルレギュラトリーパートナーズ事件・東京地判令1.10.17
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社に契約期間1年、試用期間3か月で雇用されました。 原告は、上記試用期間経過後に、同僚への態度を理由に解雇されました。 本件は、原告が会社に対して、解雇の無効を主張して雇用契約上 […]
【不当解雇、内定取消し、損害賠償】Case363 内定予定日の数日前にされた採用内々定の取消しが期待権侵害の不法行為に当たるとして慰謝料請求が認められた事案・コーセーアールイー(第2)事件・福岡高判平23.3.10労判1020.82
(事案の概要) 原告は、被告会社の新卒採用に応募し、採用内々定の通知を受け、入社承諾書を提出しました。原告は、採用内々定の通知を受けていた他社に断りの連絡を入れました。 ところが、会社は、内定通知書の交付予定日の数日 […]
【残業代、固定残業代】Case362 雇用契約書等が作成されていない場合に求人広告の内容での賃金合意を推認し諸手当が固定残業代に当たらないとした事案・東京港運送事件・東京地判平29.5.19労判1184.37
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社と所定労働時間を1日8時間とする期間の定めのない雇用契約を締結しましたが、契約書や労働条件通知書は作成されておらず、その他の労働条件には争いがありました。 原告が応募した会社の求 […]