今日の労働裁判例
Case179 人事考課において客観的で明確でない事象を降格減給の主要な理由とするには少なくとも人事考課結果のフィードバックが必要であるとした事案・長大事件・東京地判令2.2.26判例秘書L07530252
(事案の概要) 被告会社では、人事考課による職務等級の昇級又は降級について、社員の職務遂行能力と役割遂行状態を総合査定して行うものとされ、基準内賃金の大部分を占める「職能給」は、資格Ⅰ~Ⅳの職能資格毎に1~50の等級を設 […]
Case178 賃金減額規定が、減額事由、減額方法、減額幅等の点において基準としての一定の明確性を有するものでなければ個別の賃金減額の根拠たり得ないとした事案・ ユニデンホールディングス事件・東京地判平28.7.20労判1156.82
(事案の概要) 被告会社は、賃金規程の以下の規定を根拠に原告労働者を部長職から課長職へ降格し、賃金を減額しましたが、原告は特に異議を述べていませんでした。 ・昇降給は、月例給について行う。昇降給は、部署の業績および個人 […]
Case177 精神疾患を告げた上退職の意思表示をした労働者に対し後任が採用され引継ぎが終わるまで退職しない旨を誓約せさたことが安全配慮義務に違反するとされた事案・広告代理店A社元従業員事件・福岡高判平28.10.14労判1155.37
(事案の概要) 原告会社が被告労働者を訴えたのに対して、被告労働者が反訴した事件です。 被告労働者は、入社前からうつ病を患い心療内科を受診していました。 被告労働者は、会社代表者に対して退職の意思表示をするとともに […]
Case176 うつ病の既往歴がある職員が上司のパワハラを訴えていたにもかかわらず適切な対処がなされず自殺に至ったことについて市の安全配慮義務違反が認められた事案・さいたま市(環境局職員)事件・東京高判平29.10.26労判1172.26
(事案の概要) 本件労働者は、前職場において「うつ病、適応障害」の診断で89日間の病気休暇を取得した半年後に、被告市環境局のセンターに異動し業務主任として勤務していました。 本件労働者は、指導係である上司から暴行を含むパ […]
Case175 特別研修中の市立教員の自殺について市及び県の安全配慮義務違反が認められた事案・鹿児島県・U市(私立中学校教諭)事件・鹿児島地判平26.3.12労判1095.29
(事案の概要) 本件労働者は、音楽科の教員免許を持ち、被告市が設置する本件中学校において音楽科と家庭科の教員をしていました。本件労働者は、前任校にいた頃からメンタルクリニックに通院しており、本件中学校でもストレス反応との […]
Case174 過労自殺について会社の安全配慮義務違反を認め労働者の性格や態様等を理由とする過失相殺を否定した最高裁判例・電通事件・最判平12.3.24労判779.13【百選10版49】
(事案の概要) 本件労働者は、被告会社に新卒入社してから恒常的に長時間の残業を行い、帰宅しない日も多くなりました。 上司は、本件労働者に対して、帰宅してきちんと睡眠をとり、必要であれば翌朝早く出勤するよう指導しました […]
Case173 労働者が精神疾患を申告しなかったことを理由とする過失相殺を否定した最高裁判例・東芝(うつ病・解雇)事件・最判平26.3.24労判1094.22
(事案の概要) 原告労働者は、被告会社において初めてプロジェクトのリーダーを任されてから長時間労働を余儀なくされていました。 原告は、労働時間が一定の時間を超えた従業員につき実施される時間外超過者健康診断を受診し、頭 […]
Case172 市営公園の指定管理者である法人の職員について法人が指定管理者である限り雇用契約が更新される合理的期待を有していたとした事案・公益財団法人埼玉県公園緑地協会・狭山市事件・さいたま地判令3.4.23労判1264.57
(事案の概要) 原告労働者ら2名は、元々被告狭山市が設置した公社の職員として、本件公園内の本件動物園に勤めていましたが、狭山市は平成25年度以降公社を廃止して本件公園の指定管理者を一般公募することとしました。 公社の […]
Case171 労働委員会は団交事項に関して合意の成立する見込みがない場合であっても使用者に対して誠実交渉命令を発することができるとした最高裁判例・山形県・県労委(国立大学法人山形大学)事件・最判令4.3.18労判1264.20
(事案の概要) 不当労働行為救済命令に対して原告法人が提起した取消訴訟です。 国立大学法人である原告法人は、人事院勧告にならって55歳を超える教職員の昇給を抑制することとし、当該事項につき労働組合に団体交渉を申し入れ […]
Case170 業務手当は固定残業代ではなく労働者は2時間の所定休憩時間のうち1時間しか休憩できていなかったとされた事案・ライフデザインほか事件・東京地判令2.11.6労判1263.84
(事案の概要) 原告労働者が被告会社に対して残業代請求した事案です。 原告に対しては、基本給16万円のほかに業務手当14万円が支払われており、この業務手当が固定残業代に該当するかが争点となりました。 また、所定休憩 […]