懲戒解雇
Case194 民法627条の2週間の退職予告期間を就業規則により延長することはできず退職に会社の許可を必要とすることもできないとした事案・高野メリヤス事件・東京地判昭51.10.29労判264.35
(事案の概要) 被告会社の就業規則には「退職を希望する場合は遅くとも1か月前、役付者は6か月前以前に退職願を提出し、会社の許可を得なければならない」と定められていました。 役付者(係長)である原告労働者は、3か月前に […]
Case191 会社が不正経理の疑いのある労働者の退職を認めないとしても退職届の提出から2週間で退職の効力が生じその後の懲戒解雇は無効とした事案・エスエイピー・ジャパン事件・東京地判平14.9.3労判839.32
(事案の概要) 原告労働者2名による不正経理問題が発覚し、その直後に原告Aは即日退職する旨の退職届を、原告Bは即日退職する旨の退職届と有給休暇届を同時に提出し、その後出社しませんでした。会社は、原告らの退職を認めないと […]
Case190 懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は特段の事情のない限り当該懲戒の理由にならないとした最高裁判例・山口観光事件・最判平8.9.26労判708.31【百選10版53】
(事案の概要) 原告労働者が被告会社に対して、疲労困憊のため翌日から2日間休みたいと申し入れたところ、会社は出勤拒否を理由に原告を懲戒解雇ないし普通解雇しました。 原告が申し立てた地位保全等仮処分において、会社は、原 […]
Case188 上司ともみ合いになっただけでは暴行があったとはいえないとして懲戒解雇及び普通解雇が無効とされた事案・シナジー・コンサルティング事件・東京地判令3.2.15労判1264.77
(事案の概要) 本件は、原告労働者が、上司に暴行を加えたことなどを理由に懲戒解雇ないし普通解雇された事案です。 原告と上司は、職場で口論になり、お互い近づきつかみ合うなどし、同僚に制止されました。その際、原告は頚椎捻 […]
Case181 就業規則に36協定の範囲内で残業を命じる旨定められその内容が合理的な場合には労働者は時間外労働義務を負うとした最高裁判例・日立製作所武蔵工場事件・最判平3.11.28労判594.7【百選10版38】
(事案の概要) 原告労働者の上司は、原告の手抜き作業による異変を発見し、原告に対して残業して原因の究明とやり直しを命じましたが(本件残業命令)、原告はこれを拒否して帰宅しました。 被告会社の就業規則には、36協定によ […]
Case137 懲戒解雇の場合の退職金不支給条項につき全額不支給及び一部不支給が有効となる場合を制限した事案・小田急電鉄(退職金請求)事件・東京高判平15.12.11労判867.5【百選10版34】
(事案の概要) 原告労働者は、過去に2度、電車内での痴漢行為により罰金刑に処せられ、2度目は被告会社から昇給停止及び降職処分を受け始末書を提出していました。 原告が再び電車内での痴漢行為により執行猶予付きの懲役刑に処 […]
Case106 宗教法人の理事に対する通報を理由とする懲戒解雇が、公益通報者保護法の趣旨から無効とされた事案・神社本庁事件・東京高判令3.9.16
(事案の概要) 1 原告A 原告労働者Aは、被告宗教法人において参事の資格で総合研究部長の地位にありましたが、原告Aが被告の理事2名に対して、被告代表者らが土地の売買に関して背信行為を行ったなどと通報する本件文書を交付 […]
Case88 周知性を就業規則の効力要件とした最高裁判例・フジ興産事件・最判平15.10.10労判861.5【百選10版21】
(事案の概要) 被告会社では、労働者代表の意見を得たうえで、懲戒事由を定めた就業規則を作成し、労基署長に届け出ていましたが、原告の職場には備え付けられていませんでした。 原告労働者は、得意先とトラブルを発生させたり、 […]
Case63 就業規則の周知性を否定し懲戒解雇を無効とした事案・河口湖チーズケーキガーデン事件・甲府地判平29.3.14
(事案の概要) 菓子店の店長として小口現金の管理等をしていた原告は、架空の領収書を作成し小口現金を着服したこと、他の従業員にタイムカードを打刻させる等の方法で勤務していない時間について不正に賃金の支給を受ける等したこと […]
Case43 学生に対する発言等を理由とする懲戒解雇及び懲戒降格処分が無効とされた事案・学校法人國士館ほか事件・東京地判令2.10.15労判1252.56
(事案の概要) 原告A 大学教授である原告Aは、卒論研修に参加した学生28名に対して、急逝したK教授について「学長に殺されたと思っています。」などと発言したことなどを理由に被告法人から懲戒解雇(予備的に普通解雇の主張。 […]