Case34 料理長の過労死につき会社と代表取締役の責任が認められた事案・株式会社まつりほか事件・東京地判令3.4.28労判1251.74

(事案の概要)

 会社の経営するレストランで料理長として勤務していた労働者が、自宅で不整脈を発症し、翌日死亡しました。

 労働者の死亡について、遺族らの再審査請求を経て、労基署長による労災支給決定がなされました。なお、遺族が給付日額を争った国・茂原労基署長(株式会社まつり)事件・東京地判平31.4.26労判1207.56も、遺族側が勝訴しています。

 本件は、労働者の相続人である妻と長女が、労働者の死亡は長時間労働が原因であるとして、会社と代表取締役に対して損害賠償請求した事案です。

 代表取締役は、実質的な経営者であるAに名前を貸しただけで、会社の経営に関与したことも、役員報酬を得たこともありませんでした。

(判決の要旨)

 判決は、労働者が、死亡までの6か月間に、平均して月128時間を超える長時間労働をしていたと認定し、業務起因性を認めました。

 また、会社は遅くとも発症の約1か月前には労働者の時間外労働時間について把握し、労働者の時間外労働を制限するなどの方法により業務の負担を軽減すべき義務を負っていたとしたうえ、会社が従業員の健康診断を実施せず、労働者にタイムカードを付けさせず労働時間を把握していなかったことなどから、会社の安全配慮義務違反を認めました。

 さらに、代表取締役についても、従業員の労働時間や労働内容を適切に把握し、必要に応じてこれを是正すべき措置を講ずべき善管注意義務を負っていたとしたうえ、義務違反につき悪意又は重大な過失があるとし、会社法429条1項の責任を認めました。名目的な代表取締役であり報酬を得ていなかったことは、就任自体が有効である以上対外的な責任の内容を左右するものではないとしました。

 判決は、逸失利益の基礎収入の算定にあたり、月45時間の残業代を含めることを認めました。被告らが主張した、労働者が病院に行かなかったことによる過失相殺は否定しました。

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