Case135 自律神経失調症により復職当初は従前通り勤務できないとしても、負担軽減措置や配置転換も可能であったとして休職期間満了による退職扱いを無効とし慰謝料も認めた事案・キヤノンソフト情報システム事件・大阪地判平20.1.25労判960.49

(事案の概要)

 原告労働者は、職種限定なく被告会社に雇用されコンピュータプログラマーとして勤務していましたが、クッシング症候群及び自律神経失調症により2年間の休職に入りました。

 原告は、休職期間満了前に復職可能の診断を得て会社に繰り返し復職を求めていましたが、会社は、クッシング症候群については寛解状態にあると判断したものの易疲労性・集中力低下を主症状とする自律神経失調症については疑問があるとして、復職を認めず休職期間満了により退職扱いとしました。

 本件は、原告が退職扱いの無効を主張して、会社に対して雇用契約上の地位の確認及び賃金支払い、さらに慰謝料の支払いを求めた事案です。

(判決の要旨)

 判決は、>片山組事件を引用したうえ、原告は職種限定契約ではなく、復職当初は開発部門で従前のように就労することが困難であれば、しばらくは負担軽減措置などの配慮をすることも会社の事業規模からして不可能ではないと解されるうえ、開発部門より残業時間が少なく作業計画を立てやすいとされるサポート部門に原告を配属することも可能であったはずであるとし、退職扱いを無効としました。

 また、原告が、会社の違法な退職扱いにより従業員としての地位を奪われ、その回復に多大な時間と労力を余儀なくされたこと、その間、社会的・経済的に不安定な立場に置かれたうえ、コンピュータプログラマーとして現場での作業を通じてスキルアップする機会を奪われたことに対する慰謝料として50万円を認めました。

※確定

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