Case180 会社の減給規定が具体的基準を欠き特別な事情のない限りかかる規定により賃金を減額することはできないとされた事案・メイト事件・東京地判令3.9.7

(事案の概要)

 被告会社の賃金規程には「賃金は、従業員の①年齢、経験、技能、②職務内容及びその職責の程度、③勤務成績、勤務態度等を総合勘案してその金額を決定する」「会社の業績低下または従業員の②の変更(軽減)、③が良好でない時は、従業員に説明して賃金を減額す」る旨定められていました。

 会社は、原告労働者の賃金を、月額40万円から月額34万円に減額しました。

 本件は、原告が賃金減額の無効を主張して、月額40万円の支払いを受ける雇用契約上の地位確認及び差額賃金の支払いを求めた事案です。

 このうち、地位確認は確認の利益を欠くとして却下されました。

(判決の要旨)

 判決は、会社の賃金規程の定めは具体的基準を欠くものであって、特別な事情のない限り、かかる抽象的な規定により確定的に合意された賃金を減額することはできないとして、本件賃金減額を無効とし、差額賃金の支払いを認めました。

 また、原告は本件訴訟に至るまで約2年間本件賃金減額に異議を述べておらず、黙示の同意があったという会社の主張に対しては、労働者が賃金の減額について長期間異議を述べずにいたことをもって直ちに当該賃金減額について黙示に合意したとはいえないとしました。

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