Case188 上司ともみ合いになっただけでは暴行があったとはいえないとして懲戒解雇及び普通解雇が無効とされた事案・シナジー・コンサルティング事件・東京地判令3.2.15労判1264.77

(事案の概要)

 本件は、原告労働者が、上司に暴行を加えたことなどを理由に懲戒解雇ないし普通解雇された事案です。

 原告と上司は、職場で口論になり、お互い近づきつかみ合うなどし、同僚に制止されました。その際、原告は頚椎捻挫、口唇裂創、上司は肋骨骨折の傷害を負いました。双方警察に被害届を出しましたが、起訴はされませんでした。

 被告会社は、原告が上司を押し倒し覆い被さるように肘で強打したと主張しました。

 なお、原告は違法な退職勧奨やパワハラを受けたとして損害賠償請求もしていましたが否定されました。

(判決の要旨)

 判決は、関係者の証言からは会社の主張するような暴行の事実は認定できず、お互いつかみ合ってもみ合いになった事実までしか認定できないとして、その程度であれば就業規則上の懲戒解雇事由である「他の従業員に対し暴行……を加えることにより職場の秩序、風紀を乱した」に当たるとまではいえないとして懲戒解雇を無効としました。

 また、暴行等の事実が認められない以上、本件解雇は普通解雇としても無効であるとしました。

※確定

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