Case366 労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」は民法536条2項より広く、使用者側に起因する経営・管理上の障害も含むとした最高裁判例・ノースウエスト航空事件・最判昭62.7.17労判499.6【百選10版99】
(事案の概要)
航空会社である被告会社は、羽田等における労働組合のストライキにより、スト対象外の大阪・沖縄営業所においても操業が不可能になったとして、これらの営業所の従業員であった原告らに対して休業を命じ、その間の賃金を支払いませんでした。
本件は、原告らが会社に対して、民法536条2項により賃金全額の請求を求めるとともに、予備的に労基法26条の休業手当(平均賃金の6割)を請求した事案です。
(判決の要旨)
判決は、労基法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」は、民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりは広く、使用者側に起因する経営・管理上の障害を含むものであるとしました。
そのうえ、ストライキは組合の主体的判断においてなされたもので、その結果としての休業は会社側に起因する経営・管理上の障害によるものということはできないとして、休業手当の請求が棄却されました(前提として民法536条2項による請求も棄却)。