Case529 組合による不当労働行為救済命令申立てが会社に対する不法行為に当たるとはいえないとされた事案・よこはまシティユニオン(ユーコーコミュニティー)事件・東京高判令5.11.15労判1308.44
(事案の概要)
原告会社が、被告労働組合に対して損害賠償請求した事案です。
会社は、組合員である従業員Aに対して損害賠償債務不存在確認を求める別件訴訟①(>ユーコーコミュニティー従業員事件)、Aによるメール送信が不法行為に当たるなどとして損害賠償を求める別件訴訟②を提起していました。これに対して、組合は、別件訴訟①及び②が不当労働行為に当たるとして、労働委員会に対して、別件訴訟①及び②の取下げを求める救済命令申立てしていました。
会社は、組合による救済申立てが不法行為に当たるとして本件訴訟を提起しました。
(判決の要旨)
判決は、労働組合が労働委員会に対し救済命令を申し立てる行為が、使用者に対する違法な行為といえるのは、当該手続きにおいて労働組合の主張した不当労働行為が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、労働組合が、そのことを知りながらまたは通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて申し立てたなど、当該申立てが不当労働行為救済命令制度の目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるとしました。
そして、本件ではそのような事情はないとして、会社の請求を棄却しました。
※上告棄却により確定