【残業代】Case639 基本給を固定残業代に置き換える同意が無効とされ終業時刻後の休憩時間が労働時間に当たるとされた事案・プロポライフ事件・東京地判平27.3.13労判1146.85

【事案の概要】

被告Y社(不動産業)に勤務していた原告労働者Xは、平成23年4月の労働条件変更(23年4月変更)により、基本給月額35万円、家賃手当月額3万円(計38万円)の支給を受けていました。しかしY社は、同年6月(23年6月変更)、総支給額は変えないまま、支給項目を「基本給20万8800円、職務手当(時間外固定残業代)11万7000円、役職手当(深夜固定残業代)1万1700円、調整手当1万2500円、家賃手当1万5000円、家族手当1万5000円」に細分化しました。

Y社は、この変更についてXの署名押印がある雇用契約書を作成していましたが、Xは当該変更は基本給を減額して残業代に置き換えるものであり、実質的な給与減額に当たり無効であると主張しました。また、Xは午後8時以降も勤務していましたが、Y社は就業規則に基づき午後8時から9時までの1時間は休憩時間であるとして労働時間から除外していました。

Xは、これらの変更の無効および休憩時間の労働時間該当性を主張し、未払残業代等の支払いを求めて提訴しました。

【判決の要旨】

1. 労働条件変更(賃金項目の変更)の有効性

裁判所は、23年6月変更の目的は、基本給を減じ、その減額分を労基法及び同法施行規則の除外賃金とし、又は固定残業代とすることによって、残業代計算の基礎となる賃金の額を減ずることに主たる目的があったものと認めるほかないところ、そのような目的自体の合理性や被告が原告に対して前記目的を明確に説明したことを認めるに足りる証拠がない以上、形式的に原告が同意した旨の書証があるとしても、その同意が原告の自由な意思に基づくものと認めるべき客観的に合理的な事情はないとして、23年6月変更を無効としました。

2. 所定終業時刻後の休憩時間の労働時間該当性

Y社が午後8時から9時までを休憩時間として主張した点について、裁判所は、一般に、所定終業時刻より後に休憩時間を設ける場合においては、使用者において従業員に対してそれを取得させるための具体的な施策を講じなければ、従業員において指揮命令から解放された状況になったとはいいがたいとしたうえ、本件では具体的な施策が講じられたとは認められないため、当該1時間は労働時間にあたると判断しました。

以上より、Xの残業代請求が認められました。

※控訴後和解

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