Case463 放送会社と自由出演契約を締結している管弦楽団員について労組法上の労働者性を肯定した最高裁判例・中日放送管弦楽団事件・最判昭51.5.6労判252.27
(事案の概要)
原告労働組合は、放送会社である本件会社に対して、会社と自由出演契約を締結していた楽団員についての団体交渉を申し入れましたが、会社はこれを拒否していました。
組合は労働委員会に不当労働行為救済申立をしましたが、労働委員会は、楽団員は労組法上の労働者に当たらないとしてこれを棄却しました。
本件は、組合が労働委員会に対して、棄却命令の取消しを求めた事案です。
(判決の要旨)
判決は、自由出演契約の楽団員が会社の事業組織のなかに組み合入れられている点で、事実上専属出演契約及び優先出演契約と異なるところがなく、当事者の認識としても原則として発注に応じた出演義務があることが前提であること、会社が必要とするときは楽団員に出演を求めることができ、楽団員が原則としてこれに従うべき基本的関係にあったこと、演出についてなんら裁量を有さず、出演報酬は演奏の芸術的価値に対する評価というよりは演奏という労務の提供それ自体の対価であること等に鑑み、楽団員について、労組法上の労働者性を認め、棄却命令を取り消しました。