Case20 幼稚園教諭のいじめ、嫌がらせを理由とする精神障害発症が労災と認められた事案・国・和歌山労働基準監督署長事件・和歌山地判令3.4.23労経速2458.3

(事案の概要)

 労災不支給決定に対する取消訴訟です。

 幼稚園の教諭である原告は、他の教諭らからいじめ、嫌がらせ、無視等を受けたためPTSDを発症し、休職を余儀なくされたとして、労基署に労災申請をしましたが、不支給決定を受けていました。

(判決の要旨)

 厚労省が定める精神障害の労災認定基準では、原則として、精神障害の発症前6か月に心理的負荷の強度が「強」となる出来事があるかにより業務起因性を判断するとされていますが、判決は、本件各出来事はいずれも共通の人間関係を基礎とする中で連続して起きたものとして、発症前6か月を超える出来事も含めて総合的に評価するのが相当であるとしました。

 そして、認定された12個の出来事は、いずれも単独では心理的負荷の強度が「強」とはいえないものの、それに近いものもあり、総合的に評価すると発病直前に原告に生じていた心理的負荷の強度は「強」であったとして、不支給決定を取り消しました。

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