今日の労働裁判例
Case270 和解内容に違反して専任教授に授業を担当させなかったこと及びハラスメントの申告を長期間放置したことが債務不履行に当たるとされた事案・学校法人茶屋四郎次郎記念学園(東京福祉大学・授業担当)事件・東京高判令4.10.24
(事案の概要) 大学の専任教授である原告労働者は、過去に被告法人から無効な雇止め及び懲戒解雇を受けたのち復職しました。その後、原告の法人に対する訴訟において、原告が1コマ90分の授業を4コマ行うことなどを内容とする訴訟 […]
Case269 乗務員の待機場所間違いにより生じた2分の遅れに対する賃金控除を無効とし2分間分の賃金請求権を認めた事案・JR西日本(岡山支社)事件・岡山地判令4.4.19労判1275.61
(事案の概要) 運転士である原告労働者は、回送列車を移動させる作業を行う際、待機すべきホームの番線を間違えたため、被告会社から指定された時刻より2分遅れて作業を開始し、1分遅れてその後の作業を完了しました。 会社は、 […]
Case268 30年以上問題なく勤務してきたが酒気帯び運転で逮捕され懲戒免職処分となった高校教諭の退職金を全額不支給とすることも有効とした最高裁判例・宮城県・県教委(県立高校教諭)事件・最判令5.6.27労判1297.78
(事案の概要) 被告宮城県の公立高校で教員をしていた原告労働者(勤続30年)は、勤務先の歓迎会で飲酒した帰りに自動車を運転し物損事故を起こし、酒気帯び運転で逮捕されました。 県教育委員会は、原告を懲戒免職処分とし、退 […]
Case267 学生に対するハラスメントを理由とする教授の解雇が違法無効とされ慰謝料も認められた事案・学校法人滋賀学園事件・大津地判令4.6.30
(事案の概要) 本件は、大学教授で、学生に対する18個のハラスメントを理由に解雇された原告労働者が、被告法人に対して、解雇の無効を主張して地位確認及び慰謝料の支払い等を求めた事案です。 (判決の要旨) 判決は、法人が […]
Case266 退職勧奨が不法行為に該当する評価基準を示した最高裁判例・下関商業高校事件・最判昭55.7.10労判345.20【百選10版69】
(事案の概要) 原告労働者らは、被告市教育委員会が設置する高校の教員でした。 委員会は、教員の新陳代謝をはかり適正な年齢構成を維持するために、高年齢教員を対象に退職勧奨を実施してきました。 原告Aは昭和40年度から […]
Case265 定年後の嘱託職員と定年前の正職員との間の基本給、皆精勤手当等、賞与の格差が労契法旧20条の不合理な格差であるとされた事案・名古屋自動車学校(再雇用)事件・名古屋高判令4.3.25
(事案の概要) 本件は、定年後再雇用で有期の嘱託職員となった原告労働者らが、正職員との間に労契法旧20条に違反する労働条件の相違があるとして、被告会社に対して差額賃金等の支払いを求めた事案です。 問題となった労働条件 […]
Case264 長時間労働によるうつ病の発症については予見可能性がなかったもののその後の自殺について安全配慮義務違反が認められた事案・奈良県事件・奈良地判令4.5.31
(事案の概要) 本件は、長時間労働の末に自殺した被告奈良県の職員(被災者)の両親が、県に対して損害賠償請求した事案です。 被災者は、平成27年3月から同年4月にかけて、1か月当たり150時間を超える時間外勤務に従事し […]
Case263 最低賃金違反があることを知らずに締結された合意書による賃金債権放棄の効力が否定された事案・吉永自動車工業事件・大阪地判令4.4.28労判1285.93
(事案の概要) 原告労働者は、平成16年に大阪に所在する被告会社と時給6000円、所定労働時間8時間(時給換算で750円)で雇用契約を締結しました。 平成21年9月30日以降、原告の給与は大阪府の最低賃金を下回ってい […]
Case262 てんかんの障害を有することを前提に雇用された労働者について勤務意欲が低いなどの理由でされた解雇が無効とされた事案・スミヨシ事件・大阪地判令4.4.12労判1278.31
(事案の概要) てんかんの障害や足に交通事故の後遺症を抱えていた原告労働者は、障害者を対象とする説明会をきっかけに平成30年11月に被告会社と無期雇用契約を締結し、鉄道車両等の断熱材の貼付作業等に従事していました。 […]
Case261 週40時間を超える所定労働時間を無効とし総務部長の管理監督者性を否定した事案・辻󠄀中事件・大阪地判令4.4.28
(事案の概要) 被告会社で総務部長として働いていた原告労働者が残業代請求した事案です。 会社の所定労働時間は1日7時間10分とされていましたが、所定労働日が6日とされている週もありました。 会社は、原告が管理監督者 […]