2022年4月
Case93 人件費削減目的でないにもかかわらず賃金減額をもたらし代償措置も不十分である賃金制度の変更が不合理であるとされた事案・社会福祉法人賛育会事件・東京高判平22.10.19労判1014.5
(事案の概要) 被告法人は、多くの福祉施設が成果型賃金制度を導入しており、被告法人においても同様に年功序列型賃金制度から成果主義型賃金制度に変更する必要性があるとして、職能資格制度を導入するとともに、就業規則や賃金規程 […]
Case92 年功序列型から成果主義型への賃金制度の変更が就業規則の不利益変更に当たるとした事案・ノイズ研究所事件・東京高判平18.6.22労判920.5
(事案の概要) 被告会社は、給与規程等を変更し、職能資格制度に基づき職能給を支給する年功序列型の旧賃金制度から、職務等級に基づき職能給を支給し、人事評価で昇格も降格もあり得るとする成果主義型の新賃金制度へ賃金制度を変更 […]
Case91 使用者から労働者に対する損害賠償請求を制限した最高裁判例・茨城石炭商事事件・最判昭51.7.8民集30.7.689【百選10版28】
(事案の概要) 被告労働者は、業務で原告会社のタンクローリーに乗務していた際に、A社のタンクローリーに追突する本件事故を起こしました。 本件は、会社が被告労働者に対して、本件事故によって会社がA社に支払った示談金につ […]
Case90 私傷病により特定の業務を行えないとしても他の業務を行える場合には債務の本旨に従った履行の提供があるとした最高裁判例・片山組事件・最判平10.4.9労判736.15【百選10版26】
(事案の概要) 建築工事現場で現場監督業務に従事していた原告労働者は、バセドウ病(本件疾病)の診察を受け、本件疾病のため現場作業に従事することはできない旨の申出をし、被告会社の求めに応じて「今後時厳重な経過観察を要する […]
Case89 就業規則作成・変更の合理性の判断基準を示した最高裁判例・第四銀行事件・最判平9.2.28労判710.12【百選10版22】
(事案の概要) 被告会社では、定年の55歳以降も、定年後在職制度により同様の労働条件で58歳までの在職を認めていました。 会社は、定年を60歳に延長するにあたり、労働組合と締結した労働協約を踏まえて、55歳以降の賃金 […]
Case88 周知性を就業規則の効力要件とした最高裁判例・フジ興産事件・最判平15.10.10労判861.5【百選10版21】
(事案の概要) 被告会社では、労働者代表の意見を得たうえで、懲戒事由を定めた就業規則を作成し、労基署長に届け出ていましたが、原告の職場には備え付けられていませんでした。 原告労働者は、得意先とトラブルを発生させたり、 […]
Case87 就業規則の不利益変更に関する最高裁判例・秋北バス事件・最判昭43.12.25民集22.13.3459【百選10版20】
(事案の概要) 原告労働者の入社当時、被告会社には定年の定めはなく、途中で施行された就業規則による定年の定め(一般職種につき50歳)も、主任以上の職にある原告には適用されていませんでした。 ところが、会社は、主任以上 […]