Case218 唯一の資金源である親会社からの資金供給が停止されたことを理由とする事業停止および休業命令に合理性がないとして賃金全額の支払いを命じた事案・バイボックス・ジャパン事件・東京地判令3.12.23労判1270.48

(事案の概要)

 被告会社は、親会社から資金の供給を停止されたことを理由に事業を停止し、全従業員に対して休業を命じました。

 本件は、原告労働者が、休業命令に労基法26条の使用者の帰責事由および民法536条2項の帰責事由があると主張し、休業手当を含む賃金の支払いを求めた事案です。

(判決の要旨)

1 労基法26条の帰責事由

 判決は、労基法26条の使用者の帰責事由は、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むとしたうえ、本件休業命令は親会社から資金の供給を停止されたという経営上の障害によるものであるとして、同条の帰責事由を認めました。

2 民法536条2項の帰責事由

 判決は、休業命令が民法536条2項の帰責事由に該当するか否かは、休業に合理性があるか否かにより判断すべきであり、その合理性の有無は、使用者側の休業の実施の必要性の内容・程度、休業により労働者が被る不利益の内容・程度、他の労働者との均衡、事前・事後の説明・交渉の有無・内容等を総合的に考慮して判断すべきとしました。

 そのうえで、会社が事業停止を避けるために適切な措置を講じることを怠っており、休業にやむを得ない必要があったとはいえないこと、原告の不利益が小さくないこと、会社が従業員に対して休業について具体的な説明をしていないことなどから、事業停止および休業に合理性があるとはいえないとして、同条の帰責事由を認め、賃金全額および付加金の支払いを認めました。

※確定

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