Case334 オフィスビルの入退室記録から始業時刻及び終業時刻を推認し残業代請求を認容した事案・クレディ・スイス事件・東京地判令4.4.12労判1292.55

(事案の概要)

 整理解雇が有効とされた事案ですが、原告労働者の被告会社に対する残業代請求が認められています。

 会社は、原告がヴァイス・プレジデントであり、就業規則上エグゼンプト社員に位置付けられるから、賃金規程により基本給の3割は固定残業代であると主張しました。

 実労働時間について、原告は、オフィスビルの入退室記録の時間を始業・終業時刻とすべきであると主張しました。

(判決の要旨)

1 固定残業代

 判決は、就業規則上エグゼンプト社員の定義は明確に定められておらず、ヴァイス・プレジデントがエグゼンプト社員に位置付けられると認めるに足りる証拠とはないとし、固定残業代を否定しました。

2 実労働時間

 判決は、本件ビルへは、特段の事情がない限り、労働契約に基づく労務を提供するために立ち入ったと推認するのが相当であるとして、入室の10分後を始業時刻、退室の10分前を終業時刻と認定しました。

※確定

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