今日の労働裁判例

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【賃金減額、不利益変更】Case112 賃金減額の提案に対して「ああ分かりました」と応答しただけでは賃金減額の同意は認められないとした事案・ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件・札幌高判平24.10.19労判1064.37

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社の経営する本件ホテルで料理人として働いていましたが、料理人の賃金は、個別契約でばらばらに定められていました。  会社は、賃金のばらつきを解消し、合理的な賃金体系に改めることとし、賃 […]

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【不利益変更、退職金】Case111 退職金を減額する労働協約の非組合員への一般的拘束力を否定した最高裁判例・朝日火災海上保険(髙田)事件・最判平8.3.26労判691.16【百選10版92】

(事案の概要)  A社には、鉄道保険部職員で組織されたA労働組合がありました。被告会社がA社の鉄道保険業務を引き継ぐことになり、原告労働者を含むA社鉄道保険部職員は、新たに被告会社と雇用契約を締結しました。被告会社にはB […]

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【不利益変更、賃金減額】Case110 大会決議を経ずに締結された、56歳以上の従業員の基本給を一律30%減額する労働協約の効力が否定された事案・鞆鉄道事件・広島高判平16.4.15労判879.82

(事案の概要)  被告会社は、労使協議会において、労働組合に対して企業再建の合理化計画を提示し、希望退職の募集、希望退職しなかった者については、大幅な賃金の減額をすることを示しました。組合と会社は、協議のうえ、56歳に達 […]

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【不利益変更、賃金減額】Case109 53歳以上の従業員の基本給を最大20%以上減額する労働協約を無効とした事案・中根製作所事件・東京高判平12.7.26労判789.6

(事案の概要)  被告会社は、経営不振を理由に合理化計画として53歳以上の従業員の月額基本給を最高20%以上減額する案を労働組合に提示しました。組合執行部は、組合大会に付議することなく、慣例に従い職場集会にかけて意見を聴 […]

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【退職金、不利益変更】Case108 退職金の額を「中退共と養老保険の支払額」とするのみで計算方法の記載がない就業規則では、実質的周知がされたとはいえないとされた事案・中部カラー事件・東京高判平19.10.30労判964.72

(事案の概要)  被告会社では、旧就業規則により適格退職年金契約に基づく企業年金制度を採用していましたが、適格年金資産の運用利回りの低下により退職金の積立不足が生じたため、中小企業退職金共済制度及び第一生命保険相互会社の […]

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【退職勧奨、損害賠償】Case107 退職勧奨における上司の発言が不法行為に該当するとされた事案・東武バス日光ほか事件・東京高判令3.6.16労判1260.5

(事案の概要)  バスの運転手である原告労働者は、乗客の高校生らに対する暴言等があったとして、上司複数名と2回に渡りそれぞれ約1時間面談をしました。その面談の中で、原告が「反省している」「辞めたくない」と繰り返し述べてい […]

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【不当解雇、公益通報】Case106 宗教法人の理事に対する通報を理由とする懲戒解雇が、公益通報者保護法の趣旨から無効とされた事案・神社本庁事件・東京高判令3.9.16

(事案の概要) 1 原告A  原告労働者Aは、被告宗教法人において参事の資格で総合研究部長の地位にありましたが、原告Aが被告の理事2名に対して、被告代表者らが土地の売買に関して背信行為を行ったなどと通報する本件文書を交付 […]

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【損害賠償】Case105 在職中の労働者の引き抜き行為が違法とされたが、会社がその事実を取引先やスタッフに流布したことも違法とされた事案・スタッフメイト南九州元従業員ほか事件・宮崎地都城支判令3.4.16労判1260.34

(事案の概要) 違法な引き抜き行為があったとして、会社が元従業員らを訴えた事案です。 原告会社は、労働者派遣事業等を行う会社です。被告労働者は原告会社の宮崎市内の営業所で課長職にありました。 被告労働者は、原告会社に在職 […]

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【不当解雇】Case104 従業員に対するハラスメント行為や業務中の飲酒を理由とする普通解雇が無効とされた事案・摂津産業開発事件・大阪地判令3.2.26労判1259.55

(事案の概要)  被告会社が経営するゴルフ場のクラブハウス内にあるレストランで調理師として働いていた原告労働者の解雇事案です。  原告は、①無駄話が多すぎること、②従業員に対するパワハラ、③メニューを減らしてもいいとの指 […]

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【残業代】Case103 役員の専属運転手につき出庫・帰庫にかかる時間及び待機時間の労働時間該当性が認められた事案・ラッキーほか事件・東京地判令2.11.6労判1259.73

(事案の概要)  始業・終業の時刻や待機時間の労働時間該当性が争いになった残業代請求事件です。  原告労働者は、被告会社会長の専属運転手として、会長専用車両(本件車両)の運転業務に従事していました。  原告は、朝自宅近く […]

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