Case256 育児時短勤務を取得した労働者に対し労働時間に比例した昇給しかさせなかったことが違法な不利益取扱いに当たるとした事案・社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会事件・東京地判平27.10.2労判1138.57
(事案の概要)
原告労働者は、育児時短勤務制度を利用していたところ、通常勤務していた場合に比べて労働時間数に比例した8分の6を乗じた号俸分しか昇給されませんでした。
本件は、原告が被告会社に対して、昇給の抑制が育児介護休業法に違反する不利益取扱いであると主張して、損害賠償請求した事案です。
(判決の要旨)
判決は、本件昇給抑制は、育児時短勤務制度の取得を理由として、労働時間が短いことによる基本給の減給(ノーワークノーペイの原則の適用)のほかに本来与えられるべき昇給の利益を不十分にしか与えないという形態により不利益取扱いをするものであり、育児介護休業法23条の2に違反する不利益取扱いに該当するとし、差額賃金及び慰謝料10万円の損害を認めました。
※控訴