今日の労働裁判例
Case200 1年間勤続した場合に支給される勤続奨励手当の月割額を毎月の給料日に支給し労働者が期間途中に退職した場合には全額返還する旨の約定が無効とされた事案・東箱根開発事件・東京高判昭52.3.31労判274.43

(事案の概要)  原告会社が、退職した被告労働者に対して、勤続奨励手当の返還を求めた事案です。  会社では、1年間の雇用期間を勤続した場合に支給される勤続奨励手当を、毎月その月割額を労働者に前貸し、1年未満で退職した場合 […]

続きを読む
今日の労働裁判例
Case199 契約期間満了前に退職した場合に返還するとの約定で会社が労働者に約1100万円を貸し付ける旨の契約が無効とされた事案・東京地判平26.8.14判時2252.66

(事案の概要)  原告会社が、退職した被告労働者に対して貸金返還請求をした事案です。  会社は、ヘッドハンティングした被告労働者をブローカーとして雇用(5年間の有期雇用)する際に、Cash Advance Distrib […]

続きを読む
今日の労働裁判例
Case198 1年以内に退職したらサイニングボーナス200万円を返還する旨の約定が不当な拘束手段であるとして無効とされた事案・日本ポラロイド(サイニングボーナス等)事件・東京地判平15.3.31労判849.75

(事案の概要)  原告会社が、退職した被告労働者に対してサイニングボーナスの返還を求めた事案です。その他被告労働者からの反訴等もありますが割愛します。  被告労働者は、入社時に会社から、1年以内に自発的に退職した場合には […]

続きを読む
今日の労働裁判例
Case197 新人美容師につき退職したら講習手数料を支払う旨の誓約書が違法な損害賠償の予定に当たり無効とされた事案・サロン・ド・リリー事件・浦和地判昭61.5.30労判489.85

(事案の概要)  原告会社が、退職した被告労働者に対して講習手数料を請求した事案です。  美容室を経営する会社では、研修を施した新人社員が退職することを防ぐために、進入社員に対し「万一、私が会社からの色々な指導を自分の都 […]

続きを読む
今日の労働裁判例
Case196 躁うつ病を捏造して退職したことを理由とする会社の労働者に対する損害賠償請求本訴が棄却され逆に不当訴訟を理由とする労働者の会社に対する反訴が認められた事案・プロシード元従業員事件・横浜地判平29.3.30労判1159.5

(事案の概要)  原告会社が、退職した被告労働者に対して損害賠償請求した事案です。  被告労働者は、上司と面談して退職することを確認し合った(退職日は争いあり)後、会社を欠勤するようになり、不安抑うつ状態と診断されました […]

続きを読む
今日の労働裁判例
Case195 人事考課により4年連続減給された事案で個々の人事考課に権限濫用はないとしても連続減額は不合理であり当初賃金から10%を超える減額部分は減額幅決定権限の濫用に当たり無効であるとした事案・マーベラス事件・東京地判令4.2.28労判1267.5

(事案の概要)  被告会社は、平成27年度から人事・報酬制度ガイドブックを定めて従業員に周知しました。本件ガイドブックでは、報酬テーブルとして84の賃金グレードが定められており(平成30年度までに242の賃金グレードに改 […]

続きを読む
今日の労働裁判例
Case194 民法627条の2週間の退職予告期間を就業規則により延長することはできず退職に会社の許可を必要とすることもできないとした事案・高野メリヤス事件・東京地判昭51.10.29労判264.35

(事案の概要)  被告会社の就業規則には「退職を希望する場合は遅くとも1か月前、役付者は6か月前以前に退職願を提出し、会社の許可を得なければならない」と定められていました。  役付者(係長)である原告労働者は、3か月前に […]

続きを読む
今日の労働裁判例
Case193 自宅を事務所とするよう命じられたことを理由とする有期雇用契約の即時解約は会社の故意過失によるものであるとして残期間の賃金相当額の賠償を認めた事案・マガジンプランニング事件・京都地判平23.7.4労旬1752.83

(事案の概要)  原告労働者は、被告会社の大阪支店で働いていましたが、会社は、原告以外の大阪支店の従業員が退職するのに伴い、大阪支社を廃止することにしました。  原告は、本社所属の大阪事務所の駐在員として、会社と新たに1 […]

続きを読む
今日の労働裁判例
Case192 退職願を人事部長が受理した時点で合意退職申込みに対する会社の承諾があったとし以後の退職願の撤回を認めなかった最高裁判例・ 大隈鐵工所事件・最判昭62.9.18労判504.6【百選10版68】

(事案の概要)  原告労働者から政治団体の勧誘を受けたことがきっかけで失踪した従業員の調査のため、被告会社の人事部長らが原告と面談した際、原告は、呆然自失で沈黙したのち、突然退職すると告げて、慰留も拒んで退職願を提出し、 […]

続きを読む
今日の労働裁判例
Case191 会社が不正経理の疑いのある労働者の退職を認めないとしても退職届の提出から2週間で退職の効力が生じその後の懲戒解雇は無効とした事案・エスエイピー・ジャパン事件・東京地判平14.9.3労判839.32

(事案の概要)  原告労働者2名による不正経理問題が発覚し、その直後に原告Aは即日退職する旨の退職届を、原告Bは即日退職する旨の退職届と有給休暇届を同時に提出し、その後出社しませんでした。会社は、原告らの退職を認めないと […]

続きを読む